今回は、ちょっと言葉を選ばす、ご批判を承知で書いてみようと思います。
知り合いに年長のお子さんを持つママがいます。
そのママは、お子さんを特別支援学校ではなく、特別支援級に入れたくて現在奮闘中(!?)です。

最初の就学判定は、「支援学校判定」でした。
その後、就学判定会議で異議を唱え、次回就学判定会議待ち・・の状態です。

お子さんは、発語は二語文が少々、おむつ取れず・・といった状態。
正直、支援学級は難しいのでは、と客観的に思いました。

基本的に支援学校は、激戦区の横浜市以外のほとんどの市区町村で、療育手帳を持っていれば希望すれば入れます。
療育手帳がなくても、就学相談で支援学級で難しいことを訴えれば入れることもあります。

支援学校判定がでたなら、入れたほうがいいというのが私の考えです。
何故か。いくつか理由を書きたいと思います。
ここで書くのはあくまで「支援学校判定が出たのに支援級に無理やり入れるのはどうなの?」ということです。
そして、支援級に入れたいご両親を否定するものでもありません。
我が子を思うのはどの親も一緒です。ご両親が我が子を思っての行動は、誰にも何も言われることはありません。

合わない教育では子が伸びない

療育園では、絵カードを多用したり、嫌がることを無理にさせたりすることはありません。
どちらかというと「ぬるま湯」です。居心地がよいのです。親も、子も。
子が理解できるところまで配慮してくれます。

例えば、スケジュールの絵カード一つにしても
・前後3つぐらいある(前、今、次)とスケジュールがわかりやすい子、
・一つだけ(次やることのみ)が分かりやすい子、
・その日のスケジュールが全てわからないと落ち着かない子
などいろいろです。
療育園はその子にあった絵カードを用意してくれますが、小学校の特別支援学級はそこまでしてくれません。
「いちじかんめ、さんすう(せいぜいここが絵カード)」
です。
指示も基本的には口頭です。絵カードで指示しないと伝わらなくても、わざわざ絵カードを用意してくれません。
もちろん特別支援学級の先生も千差万別で、絵カードを用意してくれる先生もいますが、稀です。

支援学級の先生は、自分のクラスを持つことが難しい時短したい育休開けの先生や、体力的に厳しい退職間際の先生が担当します。
いわゆる閑職なんですよ。

障害児教育に燃える志高い先生はいません。教職だって公務員ですからね。
安定を求めて教職に就いた人はざらにいます。

特別支援学校の先生は、特別な教育を受け、資格試験もあります。
志高い先生がいらっしゃいますよ。(とはいえ、その質はやっぱり千差万別ですよ)

絵カードしか理解できない子を支援学級に無理に入れ、授業含め口頭での指示が朝の8:30~夕方15:00まで続くのです。
子にとってはつまらない、行ってしまえば地獄のような時間ではないですか。

私達に置き換えたらわかると思います。
朝から夕方まで、ロシア語の学校で過ごすとなるとどうでしょう。
なにやってるかもわからず、苦痛なのではないでしょうか。

それならば、学校でのトイレトレーニングをしてくれる支援学校のほうが何倍も子の助けになります。
子供が理解できる絵カードを使ってくれたほうが、子供が学校を楽しいと思ってくれます。

支援学級に無理に入ったからといって「同級生に刺激」をうけない

発達の具合にもよりますが、例えば発語が少ない子が、支援学級に入ったからと言って、発語が増えるでしょうか。
答えはNoです。

先ほども書きましたが、私達がロシア語のクラスに行って、ロシア語が話せるようになるでしょうか。
もちろん、私達は状況を理解し、こういう時にこういうことを言うんだな、ということがわかれば
ずっと過ごせば何とかなるかもしれません。

でも、支援学校判定がでたお子さんが、支援級に入ってどんな刺激をうけられるのでしょうか。
順番の概念がまだない子が、同級生が順番を守るのを見て順番を理解するようにはなりません。
口頭で理解できない子が、口頭で理解するようにはなりません。
会話を聞いて、会話がスムーズになることはないのです。

 

親の付き添いが必須になることがある

支援学校判定のお子さんを無理に支援級に入学させようとした場合、大概の小学校は付き添いを依頼してきます。
朝の登下校はもちろん、体育の着替え、給食の介助、授業中、すべてのシーンにおいて教師が行き届かないところをフォローするように言われます。
最初はあくまでお願いベースかもしれません。が、付き添いをするうちに親も「うちの子には付き添いが必須だ」ということに気が付きます。でもご両親はそこで、「配慮をお願いします」や、「支援員さんを雇ってほしい」という考えに至るのです。
なぜかって?それは毎日の付き添いは大変だからです。
おむつが取れていない子を支援級に入れた場合、おむつを替えてくれる担任もいなくもないでしょうが、全員ではありません。
授業中だったら担任は他の子をほったらかしておむつを替えに行ってくれるでしょうか?それは難しいですね。

こんなところから、学校や担任との摩擦がおきることがあります。

皆で並んでいる体育の授業の時、一人だけ並べなかったら、先生は他の子をほったらかして、子を並ばせてくれるでしょうか。
それが遠足の時だったらどうでしょうか。道端で整列している中、ほかの子から目を離すことは難しいです。

そこまでの配慮を普通の小学校に求めるのはやはり無理があります。
支援が必要なら、その子に合った支援をしてくれる支援学校の方がいいのです。
親も楽です。
大抵安全のためスクールバスがあります。6人のクラスに2名(自治体によっては1名)担任がいます。
税金を大量投入して、限りなく支援ができるよう配慮があるのです。

 

脱走したりして事故にあう可能性がある

小学校は数か所門があります。
それらは最近では事件事故防止のため閉める学校もありますが、地方ではまだまだ開けっ放しだったり、抜け出せる隙間がある小学校が多いです。
担任が目を離したすきに、子が学校を抜け出すかもしれません。
帰り道がわからなくて迷子になるかもしれません。

「一人で通学させるのが目標」と言われる親御さんもいらっしゃいますが、その前にまずは安全確保ではないでしょうか。
信号の意味や、交差点の危険さを理解できない子は歩いて通学させるべきではありません。
やっているうちに身につくことはありません。理解した後でようやく身につくのです。

 

支援学級と支援学校で将来は変わらない

親御さんにとって、一番しんどいことを書くかもしれません。
支援学校を勧められるお子さんは、支援学校と支援級、どちらを選んでも中学卒業後の進路はそんなに変わりません。
普通の高校に進むことは難しいです。支援学級では内申がないので、内申を必要とする普通高校への進学はできないのです。
もちろん、高校卒の資格がとれるサポート校などはありますが、高卒の資格、いりますか?
一般企業に就職するには、いや、そこまでいかなくてもアルバイトをするにも「高卒以上」の資格は必要になってきますね。

個別支援級のお子さんが、将来一般企業で障害者枠ではなく就職するのは難関です。アルバイトも能力的に厳しいです。
(支援学校判定ではなく、支援級判定の子もです。)
大抵の場合、就労支援施設で働くか、日中生活支援施設で過ごします。
「高卒」の資格は必要ないのです。
それなら逆に、支援学校に入学したほうが、コネや口コミで情報を得られやすく、子の将来も想像がたやすくなります。
「○○支援学校からのコネで就労支援施設を紹介してもらった」という方もめずらしくありません。
無理して支援級に入れたからといって、普通の子のように育って普通の就職ができるようになるわけではないのです。

それならば、支援学校で「将来支援施設に受け入れてもらえるための土台づくり」をしたほうがよくないでしょうか。

最後に。とはいえ、気持ちはわかります。

ただ、親の感情として、「支援級に通わせたい」と思う気持ちはよくわかります。
子に対する愛情は、みんな同じですし、成長を願う親の気持ちもわかります。
でも、一番に考えて欲しいのは、「子の幸せ」です。
お子さんは、支援学級で楽しそうですか?
幸せそうですか?
「学校は勉強もあるし、集団行動もあるから、我慢が必要」とかそういうことではないのです。
我慢は支援学校でも学べますし、支援学校でも勉強はします。
お子さんの発達にあった、適切な支援を受けられる環境こそが、お子さんの成長を手助けしてくれますよ。


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